導入事例 杉並区立天沼小学校

2014年9月、杉並区立小学校3校の高学年児童に1人1台のタブレットPCが導入された。その中でも最先端の活用・導入を検証しているのが、杉並区立天沼小学校(福田晴一 校長 東京都)だ。福田晴一校長に同校のタブレットPC活用について聞いた。(取材:教育家庭新聞社 2015年2月)

5-6年生全児童に1人1台を配備

本校には5・6年生の全児童に1人1台のタブレットPCが計約200台配備されています。 授業中や15分間のモジュールタイム、特別支援学級での活用を始め、その使い方を自ら考えるきっかけにもつながると考えて休み時間の自由な活用を推奨しています。
 本格的な活用は2学期が始まってからですが、1人1台の配備によって、この半年で大きな変化が見られました。
 まず、授業の変化です。習熟度別授業では、それぞれの段階に合わせた課題を提示して、児童1人ひとりの考え方を教員主導で提示しながら児童に説明させていく、という授業が増えました。
 教員の意識にも影響がありました。高学年の授業が一気に変わったことで、低・中学年の教員にもタブレットPCを始めとするICTの授業活用に対する関心が広がり、グループに1台の活用など協働学習の試みが広がってきています。平成25年に各校に配備されたタブレットPC9台は当時、台数の少なさから活用は進みませんでしたが、1人1台の整備をきっかけに、今はその出番も増え、主に4年生以下の教員を中心に活用されています。
 次に、児童の変化です。休み時間でのタブレットPC活用の様子を見ると、卒業文集の下書きをする、動画サイトを見てダンスの練習をするほか、自由にインターネット検索やゲームなどもやっているようです。そんな中、高学年のあるクラスでは「休み時間のタブレットPCの活用はこれで良いのか」という疑問が生まれ、学級会の議題に上がりました。現在、情報モラル教育にもつながる話し合いが進行中です。
 ほんの数か月でここまで活用が進んだのは、やはり1人1台の配備であったこと、その自由な活用を推奨したこと。それに加えて、リテラシーを短期間である程度そろえることができた点です。

短期間でITリテラシーを育む

高学年からの導入の場合、1人ひとりのスキルやリテラシーの差は大きく、それらを短期間である程度まで足並みをそろえる必要があります。そこで役立ったのが、タブレット・パソコン入門教材アプリ「ポケタッチ」でした。 15分程度のモジュールタイムなどを活用して短時間で効率的にキーボードや情報モラルなどのITリテラシーを身につけることができました。
 他の子ができるのに自分ができない、ということにコンプレックスを持つ児童もいますので、キーボードのリテラシーなどに不慣れな児童にとっては、他のから見ると楽しくゲームをしているように見える、という点も良かったのではないかと感じています。
 高学年であったこと、基本操作を中心に活用していたことから「ポケタッチ」の活用は1か月程度で終了しましたが、マウスやアルファベットのトレーニングがあり、思考ツールの基礎を鍛える内容もあるので、低学年から中学年で始めると、より面白いカリキュラムが作成できそうであると感じました。 どの自治体にとっても、全学年一斉配備は難しいことでしょうが、低~中学年に配備したからこそ上がる効果があるという点も今後は無視できないと感じています。

失敗事例も含めた先行事例を発信する

教具は学校が用意するもの。文具は保護者負担で用意するもの。 タブレットPCは、教具から文具への移行期にあると言えます。 セキュリティに守られている学校という場でこそ、多くの失敗ができる場所。1人1台配備になった際にどの学校でも起こり得る、失敗事例も含めた先行事例を積極的に出していきたいと考えています。ここで様々な問題を起こしてそれをについて話し合い自ら解決する、というプロセスを繰り返していくことが、本当の情報モラル教育であり情報教育ではないでしょうか。

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