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週刊ファミ通掲載インタビュー『ポケモン X・Y』のキーパーソンに聞く、対戦デビューのススメ

週刊ファミ通掲載インタビュー『ポケモン X・Y』のキーパーソンに聞く、対戦デビューのススメ

『ポケモン X・Y』発売から半年 育成環境について考えること

週刊ファミ通

――『ポケモン X・Y』の発売から半年以上が過ぎましたが、現段階でのファンの皆さんの反応はいかがでしょうか?

増田順一氏(以下、増田)
開発に3年半くらいかけたのですが、多くの人たちが3日くらいで殿堂入りしていて(笑)。これは衝撃的でしたけど、プレイヤーのスピード感を実感しました。その後、2013年12月に『ポケモンバンク』と『ポケムーバー』をリリースしたことで、対戦の環境が一新されまして。いまは、『ポケモン X・Y』だけでなく、自分の好きなポケモンをシリーズ作から連れてきて、バトルを楽しんでもらえているところだと思います。

森本茂樹氏(以下、森本)
『ポケモン X・Y』では、メガシンカやフェアリータイプといった新要素が加わり、そこに他シリーズからのポケモンたちが入ってきたことで、バトルの環境が大きく変わっています。僕も何度となくインターネットバトルに参加していますが、いまは自分の戦いかたを構築していくのが本当に楽しいと感じています。

増田順一氏

――『ポケモン X・Y』では、これまでのシリーズ作と比べても、かなりポケモンが育成しやすくなっていますよね。

増田いま、世の中の人たちは忙しいですからね。ゲームだけでなく、遊ぶものがたくさんありますし。1本のゲームをじっくり遊ぶ時間が少なくなっている環境に合わせて、ポケモンを育てやすくしたいという考えは、本作の開発当初から持っていました。それに、できるだけ短い時間でポケモンを育てられたほうが、いろいろなポケモンを使ったバトルが楽しめますので。

森本これまでのタイトルでも、ポケモンを1匹育てるまでにかかる時間は、少しずつ短くなるように調整していたのですが、それでもプレイヤーの中には、バトルの敷居を高く感じ、なかなか参加しにくい、という人もいたことでしょう。『ポケモン X・Y』では、ポケモンを自分の思い描く最高の状態まで育てる手間や時間を緩和して、あらゆるユーザーがバトルに参加しやすい作りにしています。

―― 確かに、そこは実感できます。ただ、ゲームの作り手としては、ポケモンの育成を手軽にする一方で、がんばって育ててほしいという気持ちもあったのでは?

森本愛情を込めてポケモンを育てて、そのうえで「さあ、いよいよ対戦だ!」とバトルに挑むからこそ、楽しい部分もありますからね。育成については、ある程度努力をしなくてはならない部分はしっかりと残していますし、おもしろさの根幹に関わる部分は、これからも変えないでしょう。

増田スポーツでもそうですが、まったく練習をしていない選手が、いきなり大会に出て優勝しても、釈然としないじゃないですか。といって、ものすごく練習を積まないと試合にならないというのも、おもしろくありません。育成を手軽にしつつ、時間をかけてくれた人には相応の結果が出るようなバランスを目指しています。

森本茂樹氏

―― そこは、調整が難しそうですね。

森本インターネットのバトルに参加するのって、最初はなかなか難しいんですよね。勝てなさそうだと思ったら、尻込みをしてしまいますし。でも実際は、好きなポケモンだけを集めて参戦している人がいたり、ストーリーをクリアーしたときの手持ちのままで参加している人もいるんですよ。ですので、あまり気負わずに参加してほしいですね。そこでいろいろ試してみて、「こういう戦いかたがあるんだ」と知れば、バトルのおもしろさに必ず気づいてもらえると思います。情報通の人は、インターネットでいろいろ調べて、完璧に準備をしてから参加したい、と思うかもしれませんが……。そうすると、手持ちの構成が定まらず、エントリー期間を逃すことになってしまいがちです(笑)。

増田気負いすぎて、なかなか参加できない人は、かなり多いように感じますね(笑)。まずは、とにかくバトルに参加することを第一に考えて挑戦してみてください。

――『ポケモン X・Y』は、シリーズ初となる世界同時発売(一部地域を除く)となりました。それにともない、海外勢のインターネットバトル参戦がいつもより早まっていますが、海外プレイヤーのレベルの上がりかたをどうお考えでしょうか。

森本それが不思議なもので、現状では国内プレイヤーのほうが強い傾向がありますね。

増田正確な理由はわかりませんが、日本のほうがプレイヤーどうしの関わりの密度が高く、ポケモンに関してのコミュニケーションが取りやすい、ということは一因になっていると思います。直接会うこともそうですが、各種のSNSなどを通じた情報交換や意見交換ができ、さらにそこからバトルの練習につなげられますからね。ただ、日本ほどではないにせよ、海外にも同じことをしているプレイヤーはいるので、国内外の実力差がどうなっているのか、今年のポケモンWCS2014の開催が楽しみです。

―― 近年の世界大会では、国内のプレイヤーよりも海外勢の活躍が目立ちますね。今年の大会はどうなると予想されますか?

森本そこは、まだわかりません(笑)。ポケモンWCSでは、日本のバトルではあまり見られないポケモンや戦術を見られることもありますから、いまから楽しみにしています。

インターネット対戦の状況と初心者参戦の手引き

―― ポケモンたち全体の強さのバランスは、どのようにして調整されているのか、気になっているユーザーは多いと思うのですがいかがですか?

森本最初に、頭の中で「コイツはこれくらいの強さで、だいたいアイツが倒せて、どういう使われかたをして……」と想像をしつつ、各ポケモンの能力を決めていきます。その後、自分たちでいろいろとテストプレイをしてみて、バランスが悪い部分を調整していく流れですね。それでもソフトの発売後には、我々が想像していなかった使われかたをすることもあります。あえて工夫の余地を残しつつ、技や特性を決めているところもあるので、発売後のバトルの流行は、とても興味深いところです。

―― 現段階で、森本さんの想定外の戦いかたをしているポケモンはいますか?

森本それはもう、たくさんいますよ。なかでも、ギルガルドに関しては本当に予想外でした。ギルガルドは、物理系の攻撃をメインに戦うポケモンとして考えていたんですよ。ところが最近は、はがねタイプの“ラスターカノン”などの特殊技を使うギルガルドが増えています。

―― 逆に、開発の際に想定した戦いかたをまだしていないポケモンもいそうですね。

森本僕はトリッキーなバトルが好きなので、カラマネロやフレフワンを使った意外性のある戦術をよく考えているのですが、そのあたりは、まだ掘り起こされてないかもしれませんね。カラマネロが使える“ひっくりかえす”は、相手の能力の変化を逆にする変わった技ですし、フレフワンの隠れ特性“アロマベール”は、バトルでよく使われる“ちょうはつ”など、一部の変化技を無効にするので、おもしろいです。とくにフレフワンは、トリックルームをうまく使うことで活躍できるんじゃないかと思っているのですが。ただし、トリッキーな戦いかたは、クセが強すぎて崩れることも多いので、あまり研究されていないだけかもしれません(笑)。

―― もともとあった技や特性に関しても、細かいバランス調整をされていますよね?

森本はい。せっかく作った技や特性なので、あまり使われていないものを強くしたり、威力が高すぎたものを弱めたりしていますね。バトルで、なるべく多くの戦略を考えやすいように、性能を調整しています。

―― 増田さんは、今回のバトルのバランスについて、どのように感じていますか?

増田先日まで行われていたポケモン竜王戦では、ガルーラとガブリアスがかなり多く使われていたので、その2匹は頭ひとつ出ている気がしないでもないですけれど……。いまのところは、プレイヤーどうしがしっかりと駆け引きをしている感じが見受けられますので、まずまずのバランスに仕上がっていると考えています。

―― 確かに、ガルーラとガブリアスは、インターネット対戦でよく見かけますよね。

増田話が脱線しますが、技の性能調整というところでお話しすると、技が急所に当たる確率について、少し前にユーザーの皆さんのあいだで議論があったんですよね。要は、『ポケモン X・Y』では、“急所に当たる確率が上がっているのでは?”という話なのですが、この場を借りてお答えすると、急所に当たる確率は、従来から変更を加えていません。

森本急所に当たった場合のダメージを2倍から1.5倍に抑えたぶん、急所に当たりやすい技が弱くなるので、それを補うために、急所に当たりやすくなる技やどうぐの効果は変えています。ただ、増田の言うように、土台となる急所の命中率は、まったく変わっていない。バグだと困るので、社内で10000回以上の検証をしましたが、設定通りの結果になっています。

―― そこは、噂がひとり歩きした形なのでしょうね。さて、せっかくなので、メインストーリーは終えたけど、対人戦はまだやっていない、というユーザーに、対人戦に挑む際のコツを伝授していただけませんでしょうか。

森本キナンシティには、バトルハウスという施設があります。いろいろなルールでバトルが試せるようになっているので、まずはそこで、どういう組み合わせで戦うと強いのかを確認したり、力試しをしてみるといいでしょう。ただし、バトルハウスはコンピューター戦なので、対人戦と比べれば歯応えはまったく異なります。バトルの腕を磨きたいという人は、やはり対人戦をこなすのがいちばんでしょうね。

増田とくに最初は、勝敗にこだわりすぎず、自分の好きなポケモンを軸に手持ちを作ってみるのもぜんぜんアリだと思いますよ。

森本好きなポケモンを軸にした手持ちでまず挑んでみて、そこでどういう状況でやられるのかをチェックして、対策を考えていく、という試行錯誤は楽しいですよね。

―― ちなみに、開発スタッフ内のバトルや社内大会で流行っているのは、どのようなポケモンなのでしょう?

森本つい先日、社内大会を実施したばかりなのですが、そこに参加したポケモンを数えてみると、ファイアローがいちばん多かったですね。そのほかでは、ガルーラ、オンバーン、バンギラス、ゲッコウガ、ニャオニクスあたり。とは言え、みんなわりとバラバラのポケモンを使う傾向でしたけれども。開発スタッフは、「みんなとは違うことをしたい」と思っている人間が多いので、ジュペッタやガメノデス、ヘルガー、カラマネロなどを使った、意外性のある戦いかたをしたりもしますね。もちろん、いま流行の構成で戦う人も少なくないです。

―― 開発スタッフの皆さんによる大会は、なかなかレベルが高そうですね(笑)。これから大きな大会やその予選、前哨戦などが開催されていきますが、それに対して、おふたりはどんなことを期待されますか。

増田自分は、とにかく皆さんが楽しんでくれることを期待しています。メインストーリーの冒険では、シングルバトルがメインになりますが、公式大会のバトルは大半がダブルバトルです。まずは近くの友だちとダブルバトルをしてみることで、ダブルバトルのおもしろさを発見してほしいですね。そうすればきっと、ポケモンWCS2014の入り口となる、ポケモングローバルリンク ジャパンカップ2014も楽しく戦えると思いますので。くり返しになりますが、手持ちの構成やポケモンの育成にこだわりすぎているうちにエントリー期間が終わってしまうのはもったいないので、あまり気負わずに。

――「どのポケモンを使えばいいのかわからない!」という人は、ポケモングローバルリンクで見られる、使用率が高いポケモンや技を参考にしてみるのもよさそうですね。

森本そうですね。いまはどんなポケモンたちが流行っているのかを、ポケモングローバルリンクでしっかり確認できるので、この分析はすごく勉強になります。開発スタッフのあいだでも、その環境の変化を見て楽しんでいる人は多いです。これから対人戦を始めようという方には、使用率の高いポケモンを見ながら、自分なりの戦いかたを見つけてもらったり、新しい戦いかたを生み出してもらえるとうれしいですね。

増田最後に、本当に入門者向けに説明しておくと、インターネット対戦にはレーティングという仕組みがあります。レーティングは、対戦の勝敗に応じて1500から上下していくのですが、インターネット対戦のマッチングは、基本的にこのレーティングが基準なので、初心者の方は、同じく初心者の方と当たる可能性が高いです。シーズン開始当初は、みんなレーティングが近かったので、プレイヤーのレベルが混在していた部分もありますが、シーズン中盤のいまは、実力による住みわけが進んでいます。過去になかなか勝てなかった人も再戦してみるといいでしょう。4月23日から、ポケモングローバルリンク ジャパンカップ2014が始まっていますが、ぜひ楽しんでください!

  • ※ このインタビューは、週刊ファミ通2014年4月24日号に掲載された内容をもとに、株式会社ポケモンが一部加筆・修正を加えたものです。
最初の3匹(最終進化形)で対人戦に臨むのってアリ!?

 工夫次第では、十分に戦えると思いますよ。ゲッコウガの隠れ特性(※)“へんげんじざい”は、技のタイプに合わせて自分のタイプが変化し、必ずタイプ一致で技が出せる特性なので、さまざまな状況に適応できます。マフォクシーは、隠れ特性で“マジシャン”という、相手の持ち物を奪うというものがあるのですが、これを利用して、まず“パワフルハーブ”を持たせたマフォクシーにソーラービームを撃たせ、“パワフルハーブ”を消費する。それと同時に相手の持ち物を奪うという戦いかたが効果的ですね。ブリガロンは、“ニードルガード”を使えば使用率の高い“ねこだまし”を回避できるだけでなく、カウンターダメージを与えられるのでオススメです。

 また、ゲーム序盤でプラターヌ博士からもらえるポケモンの最終進化形、 リザードン、 フシギバナ、カメックスもしっかり活躍できますよ。リザードンは、メガリザードンYへとメガシンカし、天気を“日差しが強い”にした状態で“ねっぷう”を出すだけでも、非常に強力です。ただ、いわタイプの技に弱いので、そこをどう対策するかがポイントですが。フシギバナは、メガシンカをすると特性が“あついしぼう”になり、弱点だった、こおりとほのおタイプの技からのダメージが減少するんです。それと、 フシギバナの隠れ特性で、日差しが強い天気で素早さが2倍になる“ようりょくそ”というものがあります。これを利用し、天気を日差しが強い状態に変える“にほんばれ”を使った後に出して、最高の素早さでメガシンカを遂げ、攻撃をくり出すといいでしょう。カメックスは、メガシンカによって、はどう技の威力を上昇させる特性“メガランチャー”になるので、“トリックルーム”で素早さをフォローしたうえで攻撃すると、とても効果的です。(森本氏)

  • ※“隠れ特性”とは、特別な方法で手に入れたポケモンだけが持っている特性。
現在、流行中のポケモンとその対策は?

 かなり前からメガガルーラが大流行していますが、それに対抗した“ゴツゴツメット”を持ったポケモンが、最近増えてきています。特性“おやこあい”で2回攻撃をするメガガルーラは、“ゴツゴツメット”でのダメージを2回食らうので、これはかなり効果的な対処法ですね。また、隠れ特性が“さめはだ”のガブリアスに、同じく“ゴツゴツメット”を持たせるという手法もよく見ます。これにメガガルーラが2回攻撃をすると、4回もカウンターダメージを受けてしまい、もはや、どちらが攻撃を仕掛けているのかわからなくなるくらい、有効な対策ですね(笑)。あとは、隠れ特性“はやてのつばさ”を持ったファイアローが流行っている影響で、 先制技から身を守る“ファストガード”を持っているポケモンが多くなっているように感じます。“ファストガード”を持っていれば、ファイアローが“ブレイブバード”を出しにくくなるんですよ。“はやてのつばさ”で“ブレイブバード”が先制攻撃になるため、それを完全に封じることができるというわけです。

 メガガルーラ、ファイアローについでよく見るのは、メガクチート。メガクチートは、特性“ちからもち”により、技の威力がかなり高いのですが、素早さが低いので、そこを突いた攻撃を仕掛けるといいでしょう。素早さの低さを、先制技“ふいうち”でフォローしている場合もありますが、相手をやけど状態にして牽制できる“おにび”を使えば、相手の立ち回りをジャマできます。これはメガガルーラにも有効な手で、実際に“おにび”を持ったロトムで対抗している人を、よく目にします。(森本氏)

増田順一氏

 『ポケットモンスター 赤・緑』以来、全シリーズ作でソフト開発の中心となってきたゲームデザイナー。タイトル全体のディレクターとして開発スタッフを束ねるほか、シナリオやサウンドの制作など、多くのパートに深く携わる。

森本茂樹氏

 『ポケットモンスター』シリーズのバトルディレクター。数多く登場するポケモンたちの能力や技を取り決める、ポケモンバトルのバランサーを務める。シリーズを開発するだけでなく、自身も実力派トレーナーとして有名。

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